改正不動産登記法について、主要な変更点と施行時期を詳しく説明します。
主な改正点
相続登記の申請義務化
- 相続人は、被相続人の死亡を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務を負います。
- 正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続人申告登記
相続登記の義務化に伴い導入される新制度です。
- 遺産分割協議が3年以内に成立しない場合、まずは相続人申告登記を行うことで義務を果たしたとみなされます。
- その後、遺産分割が成立した際に本来の相続登記を行う必要があります。
住所等変更登記の義務化
- 所有者は住所や氏名の変更から2年以内に変更登記を申請する義務を負います。
- 正当な理由なく申請を怠った場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。
所有不動産記録証明制度
- 個人が所有するすべての不動産を一覧で確認できる証明書が発行されます。
- 相続人が被相続人の所有不動産を把握しやすくなります。
その他の改正点
- 登記官による職権的な住所変更登記の実施
- 登記簿の附属書類の閲覧制度の見直し
- 形骸化した登記(期間満了の地上権等)の抹消手続きの簡略化
- DV被害者等の保護のための登記事項証明書等の記載事項の特例新設
改正の背景と目的
この改正は、所有者不明土地問題の解決を主な目的としています。所有者不明土地は国土の約20%を占めるとされ、不動産取引や管理の障害となっていました。改正法は、不動産登記の最新化を促進し、この問題の解決を図ろうとしています。
施行スケジュール
- 2023年4月1日: 一部規定の施行
- 2024年4月1日: 相続登記義務化、所有不動産記録証明制度等の施行
- 2026年4月1日まで: 住所等変更登記義務化の施行
この改正は不動産所有者に新たな義務を課すものですが、同時に登記手続きの簡素化や合理化も図られています。不動産所有者は、これらの変更点を十分に理解し、適切に対応することが求められます。
改正不動産登記法に関する参考リンク:
法務省 – 不動産登記法の改正について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html