不動産所得の損益通算

損益通算の概要

損益通算とは、ある所得で損失が発生した場合に、その損失を他の所得のプラス分から差し引くことができる制度です。不動産所得の場合、以下のような特徴があります:

  • 不動産所得の赤字は、主に給与所得や事業所得との損益通算が可能です。
  • 損益通算を行うためには、確定申告が必要です。

損益通算の対象となる所得

損益通算ができる所得の種類は以下の4つに限られます:

  1. 不動産所得
  2. 事業所得
  3. 譲渡所得
  4. 山林所得

損益通算の制限

ただし、すべての不動産所得の損失が損益通算の対象となるわけではありません。以下のような制限があります:

  1. 土地取得のための借入金利子:不動産所得の損失のうち、土地取得のための借入金利子に相当する部分は損益通算の対象外となります。
  2. 別荘等の貸付け:主に趣味や娯楽、保養目的で所有する不動産(別荘など)の貸付けによる損失は損益通算できません。
  3. 国外中古建物による損失:2021年以降、国外中古建物から生じた不動産所得の損失のうち、簡便法等で計算した減価償却費に相当する部分は損益通算の対象外となります。

損益通算の具体例

例えば、以下のような場合に損益通算が可能です:

  • 給与所得が700万円で、不動産所得の損失が100万円の場合:
    700万円 – 100万円 = 600万円が課税対象となります。

注意点

  • 損益通算を行うためには、確定申告が必要です。
  • 青色申告を行っている場合、損失を翌年以降に繰り越すことも可能です。
  • 株式の譲渡所得や先物取引に係る雑所得等との損益通算はできません。

損益通算は複雑な制度ですので、詳細については税理士や専門家に相談することをお勧めします。また、確定申告の際には、これらの制限を正確に理解し、適切に申告することが重要です。